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第49話 ビュフォンという人

私事の話で恐縮するが、筆者は休日の散歩のついでに大型書店をよくのぞく。本好きゆえ各分野の書棚に目をやるものだから、科学のコーナーでビュフォンという人の名を本の背表紙にあるのをよく目にしていた。人物については知らないが、博物学の本のようなのでその道の専門家ぐらいにしか考えていなかった。

過日、ある本でそのビュフォンがモテンカルロ法での古典的問題、"ビュフォンの針の問題"のビュフォンであることを知り驚いた次第である。そんなことで、少しビュフォンに興味を持ち調べてみたら、フランス革命前の知識人であり、有名な数学者ダランベールよりも10年先輩だが、活躍時期がほぼ重なっていることも分った。

ビュフォン(Buffon仏;1707-1788)は裕福な家庭に生まれ、その財産を背景にして後に博物学にのめることができたようだ。博物学の歴史では第一人者と言っても過言ではないようで、そもそも、博物学を創設したのが彼だともいわれている。

若い頃は数学に関心があり、いろいろ研究もしたようだ。"ビュフォンの針の問題"もそのころの賜物なのだろう。面白いところでは、木造軍艦に使用される木材の引張り強度の研究なども人にたのまれたりしている。だが、やがて、自分の数学的才能の限界を知り、数学を離れて興味の対象を植物学に転向していったようだ。これが博物学の巨人を生み出した経緯である。

ところで、モンテカルロ法とか"ビュフォンの針の問題"とは何ぞやという方には上の話も興味が半減するので少し紹介しておこう。

モンテカルロ法とは史上有名な原爆開発計画、マンハッタン計画の最中、これまた、有名な天才、ジョン・フォン・ノイマンが中性子の拡散の計算に使用したあたりから名づけられた手法である。解析的には手におえないような問題をコンピュータと乱数を使って解決を図る確率論的なアプローチである。簡単に言えば、サイコロを多く振るような手段であることから、カジノの本場、モンテカルロのネーミングが採られた次第である。

"ビュフォンの針の問題"の方はもちろん、モンテカルロ法の名が登場する遥か以前、ビュフォンが確率論を考察した際に求められた問題である。

平面上に等間隔の平行線が引かれているとする。その間隔をDとする。その上に、1本の細い針を無作為に落とすとする。針の長さをL(ただし、L<D)とすれば、針が1本の直線と交わる確率は2L/πDであるとビュフォンは結論付けている。

落とされた針は一端の位置と方向角が決まれば完全にポジショニングされ、直線と交わる条件は次式のとおりとなる。

それで、実際に針を落としてx、θを測る代わりに乱数を発生させてその代行させるのである。ビュフォンの結果を利用すれば、逆にπの値が求まるから面白い。筆者が使用しているコンピュータープログラム言語に用意されている乱数発生関数を使って、少し試行してみると以下のような結果となった。

乱数発生回数 πの値
10 3.225
100 3.229
1000 3.152
2000 3.148
3000 3.140
4000 3.142
5000 3.141

2008.12.01記


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